Web活用備忘録

実際のところ、現場の制作者はWebデザインをどう捉えているのか?

2009 年 1 月 21 日

■デザインに意図・目的が常に求められる


──── 前職と比較して、アイタスではデザインに対する観点が異なっている?


木下:なぜその形・色・質感になっているかという理由を明確に求められるのは、アイタスの特徴かなと思います。Webサイトは見るというよりはユーザーが使う意味合いが強いので、どのようにしたらさらに使いやすいデザインになるかと考える場面は多いですね。

見出し一つをとっても、それがきちんと情報を伝える役割を果たしているかとか。

サイトの目的・伝えたい内容に沿った色・配置・バランス・情報の見やすさ(使いやすさ)になっているかどうかは強く求められると思います。



■アイタス名物は制作泣かせの「社内チェック」


──── 新人?制作T・ディレクターMともに、前職で永くデザイン業務に従事していて、相応にデザイン手法やメソッドを身につけていたと思うのだけども、それがそのままではアイタスでは通用しなかったり?


ディレクターM:デザインが上がったものをデザイナーだけではなく皆でチェックするといったことは今まであまりなかったです。


──── 「ううう、デザインの専門家じゃない営業からツッコミ入ったよ」とか?(笑)


ディレクターM:デザイナー以外の立場の人が見たほうが良い意見が出ることはよくあります。デザイナーだけだと見栄えばかりに気がいきがちなので。

新人?制作T:一番おどろいたのは、情報共有の手法が確立していて、しかもそれを日々改善しようとしていることですね。具体的にはメーリングリストやグループウェア、それに社内の書籍の量です。

アイタスに来たその日には「北海道No.1を目指す会社だけはある」と、内心大興奮していました(笑)。


──── デザインの内覧、社内チェックでよく指摘されることは?


ディレクターM:「ユーザーが最も使いやすいボタンはどこにどのような色・大きさ・かたちで配置すべきか」など、Webサイトデザイン特有の話はよく出ますよね。

新人?制作T:「このすき間の意味は?」と「見出しの帯はワンパターンじゃないか」といった細部について話題となりますね。細かいのだけれど、言われてみるとなるほどそうだよなぁと気づくことが多いです。


──── アイタスではWebサイトの構成要素としてデザインももちろん重視しているけれど、それはあくまでも要素のひとつでしかないとクライアントに説明しますね。見た目だけ追ってもだめだと。使うツールなのだから。

そのわりに、すき間の意味は? とか、この見出しの帯どうよとか、細かい? これまでの勤め先で、そこまで細部に対しての要求ってありましたか?


新人?制作T:あまりなかったです。

もちろん、「ここは広すぎない?」「この線太すぎない?」という指摘はあったんですが、それも明確な意味を持って言われるわけでも主張するわけでもなく「なんとなくこうじゃない?」という部分は非常に多かったと感じます。


──── アイタスではそれが理詰め、ロジカルだと。 デザインって感性とか感覚なのでは?


新人?制作T:そう思っていた時代が僕にもありました……。

ディレクターM:アートではなく商業デザインなので、やはり相手の立場でつくらなければ……。

新人?制作T:チラシなどでもそうですが、ユーザーの目の運びかたやクリックする順番というものがありますし、それを意識してつくらないと、単に自己満足で終わってしまいますよね。



■完全分業制にしない意図


──── Webサイト制作会社では、作業フェーズごとに従事者を分ける方向性が強まっています。アイタスは少人数というのもあるけれど、制作スタッフがさまざまな局面になるべく立ち会うようにしていますね。それって大変じゃないですか? なぜ、よくあるパターンのように、ディレクター、設計者、デザイナー、マークアップエンジニア、等々のようにセグメントしないのでしょうか?


新人?制作T:Webサイトはデザイン・システムとサイト全体の設計が要素としてあると思います。HTMLをマークアップする際の制限から、紙媒体のような自由奔放なデザインもできません。

以前、紙媒体専門だったデザイナーさんからWebサイトでは実現が難しいデザインを「この通りにつくって」と要望されたことがあります。デザインする人自身がWebでなにができてなにができないかわかっていないと厳しいです。

設計者やデザイナー・マークアップエンジニアがお互いの職域について深く知らないと、互いの作業の意味さえ把握できません。それを統括するディレクターも各工程がどんなものかわかっていないと指示できませんから、いきなり分業はどうなのかなと。


木下:なにより一番大事なことですが、制作者が顧客の生の要望を知らないのは、客のオーダーを聞かずに適当なレシピで料理をする料理人と同じです。

最終的な納品物の完成度を求めるのであれば、完全に分業してしまうのはかえって危険なことだと思います。

アイタスでは明確な分業はあえて行わず、全員ができるだけ多くの場面を経験する態勢となっていますね。



■サイトが破綻しないトップページのデザイン


──── Webサイトのような総合ツールの発注に慣れていない依頼主の場合、往々にして「まずなにかデザイン見せて」と言ってきますね。これに対してアイタスでは「いろいろ構成考えて、なにをどうしたいのか、目的は何なのか、しっかり把握しないとデザイン案出せない」と説明する場面があります。

──── これって、クライアントニーズを満たしていないのでは? 依頼主はなにか絵的なものをまず見たいのだから。


新人?制作T:ただそれは「Webサイトってこうですよねー」というなんとはなしの合意が双方にあって、なんとなくつくっていたのではないか、とも思います。

ディレクターM:側だけで走ってしまって見栄えだけで中身のないサイトになってしまえば結局クライアントも損をしてしまうのではないでしょうか。


──── その「なんとなく」のデザイン案に、なにか意味はありました? なにかの役に立ちました?


ディレクターM:あまり役に立っていなかったのではないか、と。最終的な納品物と初期に出したデザインってガラリと変わっていることが多いですよ。

新人?制作T:つまるところ「デザイン」は「情報の受け渡しの仕方の設計」ですから、「なんとなく、こんな感じで」では、その「情報」の意味や内容も、ぼやけてしまうと思います。


──── 「デザイン案を」といった時に、まず、トップページのデザイン案を出すことも多いようです。これもアイタスではやりませんね。下層のページ構成・レイアウトをつめた上で、その集積として整合性の取れるトップページをデザインする。これはどうですか?


新人?制作T:これはなかったです。「最初にお客さんが見るのはトップページなんだから、トップページがっつりやれ」と、異口同音に言われました。

ディレクターM:今までトップからつくっていたので最後の最後でつじつまがあわない、急なコンテンツの追加等があり苦労したことがあります。

新人?制作T:すでにサイトを立ち上げていて効果も出しているクライアント様からは「トップページはまたあとで。それよりメニューや中ページの出しかた考えてね」と、釘を刺されたことがありました。これはわかっているクライアントさんだったのかな。


──── まずトップページからデザインするのって、デザイナーが本の中身把握しないままに、もくじや装丁デザインするようなものだよね。


新人?制作T:CDや本だと「ジャケット買い・表紙買いさせるためのデザイン」ですよね。

ディレクターM:家だったら基礎工事とばしていきなり外装工事ってかんじですね。一番大切なのは中身なのに。

木下:確かにそうですね。サイトは全体の構成が統一感が使いやすさを高めるうえで重要だと思いますので、全体を考えてデザインしないと難しいと思います。



■遊び心のあるデザイン・使い心地の良いデザイン・アナログタッチなデザインのご依頼、お待ちしております!


──── 最後に「今年はこんなデザインやってみたい」という抱負を。


ディレクターM:最近堅いデザインが多かったので、遊び心が必要なデザイン案件を久々に担当したいです。

新人?制作T:「使うことが楽しいサイト」でしょうか。ボタンやリンクをクリックすることにストレスを感じさせないのは当たり前ですから。

「その先」を、すこしでも垣間見えるWebサイトを、グラフィックの面でもページ誘導の面でも、つくれるようにがんばります。

木下:アナログな質感のサイトデザインをおこなってみたいと思います。自分のイメージとして、Webサイトはシステム的・無機的な感じがしてしまう面もあるので、より有機的なイメージをあたえられる(紙や布や土の質感を感じさせるような)サイトデザインをやってみたいです。


──── 上記のような方向性のデザインであれば、通常以上にがんばっちゃうぞと。ご相談・ご依頼いただけるよう、これからもPRしていきまっしょい!



<アイタス@アイタス

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